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2024.10.18
Q&A・コラム
頸部(くび)の病気について
実は耳鼻咽喉科は頸部(くび)の病気の専門家でもあります。
頸部には神経や血管を含め重要な器官が狭い区域に集中しており、トラブルがあると即生命にかかわる病気もあります。
「くびがはれている」「くびにしこりがある」という症状がある場合はお早めに相談ください。
炎症や腫瘍の可能性があり、あまり放置すると診断・治療が遅れてしまいます。
実際に診察するまでは頸部の腫脹の原因はわかりません。
はれている位置や触診での硬さ、痛みの程度など、様々な情報から診断をつけていきます。
『頸部超音波検査(エコー)』は診断確定にとって非常に力強い味方です。
視診、触診だけでは得られない詳細な情報を得ることができます。思わぬ疾患を見逃すこともできるだけ防ぐことができます。
耳鼻咽喉科で診断治療のできる主な病気についてお話します。
まずは【甲状腺腫瘍】です。甲状腺は “のどぼとけ”(甲状軟骨)のすぐ下のところにあり、生命活動維持に欠かせないホルモンを分泌する重要な内分泌臓器です。
甲状腺ホルモンの異常を検診などで指摘された場合は、まずは内科を受診いただくのがよいかとは思いますが、甲状腺内の腫瘍の有無の確認は耳鼻科でのエコーで診断します。
【唾液腺】も同様に耳鼻咽喉科の専門領域です。大きな唾液腺には、おたふくかぜで有名な「耳下腺」やあごの下にある「顎下腺」などがあります。【唾液腺腫瘍】は唾液腺内にできる腫瘍で、甲状腺腫瘍と同様にまずは耳鼻科でのエコーで診断します。
【頸部リンパ節腫脹】に関してもエコーである程度診断をつけることができます。炎症性や悪性腫瘍によるものなど、リンパ節が腫脹する理由は様々です。
【頸部嚢胞】という疾患もあります。正中頸嚢胞や側頸嚢胞が代表例です。くびの腫れで気づくことが多いですが、炎症を伴うと痛みが出現します。
これらの疾患は、外から見ているだけでは診断をつけることは難しいです。まずは患者さんの負担の少ない検査から行うのがよいと思います。
当院では診察室にエコーを設置し、診察中にいつでもすぐに検査を行うことができます。不安なことがある方は、ぜひご相談ください。
※ちなみに、当院ではできないこともあります。
・頸動脈や頸静脈など、「血管」に関する詳しい検査は当院では行うことができません。申し訳ありませんが、内科で相談いただくのがよいかと思います。
・頸部の症状の原因が、主に「筋肉や骨」である場合は当院で治療を行うことが難しく、整形外科の受診が必要となります。
・腫瘤(できもの)の詳しい検査が必要な場合は基幹病院への受診が必要です。CTやMRIなどの画像検査や、穿刺吸引細胞診は当院では行うことはできません。
・皮膚のみのトラブルは皮膚科受診をお願いすることがあります。